南シナ海封鎖による迂回路と大迂回路

航行の自由作戦の終結点~領海侵犯艦船を撃沈してやる6~

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アメリカ海軍の南シナ海作戦批判の続編です。

何が目的なのか

南シナ海に侵入したイージス駆逐艦ラッセン

南シナ海に侵入したイージス駆逐艦ラッセン

電脳大本営は「航行の自由作戦」実施の当初から、『これは「無害通航権」に基づいているものだから有効じゃない、もう1歩踏み込まないとダメ!』と指摘させて頂きました(アメリカ軍の南シナ海突入を批判する~領海侵犯艦船を撃沈してやる5~ 10月28日公開)。

大変たくさんの方から「いいね」を頂戴して感謝に耐えないところであります。
もちろんご批判も頂戴しましたが、コチラはどうやら私の表現が悪くて、無害通航権や支那の悪意をお伝えし切れなかった事が原因であろうかと思われます。

でも、ここに来てやっと海外のマスコミから「航行の自由作戦」の有効性に対する懸念の声が漏れてまいりました。
それに便乗して私の言葉足らずを補足し、さらにオバマ大統領の真意や南シナ海情勢の行き着く先を考えてみたいと思います。

時間のない方のために、一つの結論を先に申し上げておきますとヘタレ大統領の目的は「同盟国と国内(強硬派)、海軍の批判をかわす」だけだったと思われます。

「米中衝突を予測せず」

米太平洋軍司令官、北京乗り込み 「米中衝突を予測せず」』と言う記事です。
記事にリンク貼ってますが、抜粋だけは引用しておきましょう。

ハリス氏は「南シナ海における中国の主張や米軍の動きをめぐって意見の相違はあるが、朝鮮半島の非核化など考えが共通する分野も多い」と指摘。「緊張がある時こそ、軍同士の対話が最も必要だ」とし「対決よりも協力」を目指す考えを示した。

「国際法や国際規範がないがしろにされるのを防ぐため、米国は『航行の自由』を支持する立場を取り続ける」とも強調。その上で「航行の自由」を示す作戦は世界中で実施していると述べ、特定の国に向けたものではないと語った。

環太平洋合同演習(リムパック)に中国が来年も参加するほか、米中双方の海軍艦船が相互訪問する計画も明らかにした。

ハリス氏、というのが米太平洋軍司令官であるのはご存知のとおり。
北京へ乗り込んで南シナ海での横暴を非難するように見えますが、彼の真意はこの引用文ですよね。

支那政府も、ですがアメリカ政府も実際の衝突は望んでいないってことです。いや、アメリカ政府のほうが腰が引けてるんじゃないかと思えます。

米「航行の自由作戦」3カ月に2回以上継続

「航行の自由作戦」を継続する、との発表があったときに電脳大本営としては「そのまま南シナ海を遊弋するんだな」と思ったものです。

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あきづき

「ふゆづき」の同型艦、ネームシップ「あきづき」

原子力空母「ロナルド・レーガン」とわが日本型イージス「ふゆづき」のペアも南シナ海で訓練してましたしね。

ところが実態はこれです。

同じく、注目ポイントだけ引用しておきます。

ロイター通信によると、米国防総省当局者は2日、南シナ海での米海軍艦船による「航行の自由作戦」を、「四半期(3カ月)に2回かそれ以上」の頻度で継続すると語った。

一方、米軍協会のニュースサイトは2日、国防当局者の話として、先月の作戦が「無害通航権」として実施されたと伝えた。国連海洋法条約は、外国船舶が秩序や安全を害することがない限り、他国の領海を通行する権利を認めている。

米政府は9月、中国海軍の艦船5隻がアラスカ州沖のアリューシャン列島を通過した際、米国の領海に進入したものの無害通航権として看過した経緯がある。

同サイトは、無害通航権に基づく作戦の実施に「人工島の周辺を『領海』とする中国の主張を、暗に米国が認めたとの認識を与えかねない」と懸念を示した。

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「3ヶ月に2回かそれ以上」と言うのは、2回以上は行かないですよ、と支那政府に保障した、ってことでしょう。

一月半ごとにイージス駆逐艦が人工島の沖合い12海里を、支那の監視船をぞろぞろ引き連れて通るだけで、支那が人工島の基地整備を止めると思われますか?

結局、「航行の自由作戦」はオバカ大統領のアリバイ工作に過ぎなかった、という事がお判りじゃないでしょうか?

流石に軍関係者はわかってますね

文中にある米軍協会っていうのは、おそらく「海軍協会」のことでしょう。
アナポリス兵学校に設置されたアメリカ海軍軍人の任意団体で、150年近い歴史があったと思います。

政府の代弁ではなく、アメリカ海軍の本音が聞こえてくるのが特徴です。
やはりシーパワーを代表する奴らの主張のほうが、真実に近いでしょう。

『無害通航権に基づく作戦の実施に「人工島の周辺を『領海』とする中国の主張を、暗に米国が認めたとの認識を与えかねない」と懸念を示した』

そうです、これが私が前回のアメリカ軍の南シナ海突入を批判するで申し上げたかったこと。
歴史ある協会は表現のセンスがよろしいですね。

このままではダメ

ここまで、まとめますと、
1.「航行の自由作戦」は3ヶ月に2回しかやらない。
2.国際的に認知された「無害通航権」に基づいておこなわれ、今後も行われる。
3.アメリカ海軍は本音では「支那の領有権主張を認めることになる」と心配している。
という事です。

これでは、支那の人工島の海・空軍基地化がとまらないことは確実です。
南シナ海に基地が出来れば、やがて支那が南シナ海全域を「領海である」と言い出すに決まっています。

領海ならまだ「通行の自由」は(国際法上は)保障されます。でも、支那はこれを「海洋国土」といってますから通行の自由どころか、わが国の船舶は立ち入ることも拒否されるでしょう。

南シナ海封鎖による迂回路と大迂回路

南シナ海が支那に支配されたときの迂回路と大迂回路

南シナ海に支那空軍が中継基地を得て、我が通商路を圧迫しようとすれば、日本向けの船舶は大迂回路を取らざるを得ません。

このことは、アメリカにとっては痛くもかゆくもありません。
それどころか、原油価格の下落で相対的に高くて売れなくなったシェール・オイルを、日本に売りつけるチャンスだと捉えるんじゃないでしょうか?

もう一つ、南シナ海で支那の戦略原潜が隠れる、と言う問題があります。
これは完全に電脳大本営の想像ですが、アメ公は南シナ海から原潜を出さない自信があるんじゃないでしょうか。

南シナ海からでは、支那の大陸間弾道弾にとってアメリカ本土はやや遠い。海南島を出て、いったん南シナ海に隠れるのは海南島からだと、ずっとトレースされてしまうのを嫌うためです。

理想は

そもそも「航行の自由作戦」は、その目的を明確にしないまま実施されてしまった嫌いがあります。
支那がどこまで譲ったら、作戦が成功したことになるのか?という事です。

同盟国の航空母艦を視察する我が軍の最高司令官

「艦長、この空母を我が海軍に2週間ほど貸してくれや」
「ウチの大統領がオバカなんでご心配おかけしてます」

ココをしっかり決めておかないと、戦争には勝てないものです。

わが国にとって、「航行の自由作戦」の目的は理想的には『支那が「海洋国土」の主張を放棄して、周辺諸国と領海やEEZについての話し合いをするようになる』
という事でしょう。
少なくとも、『支那が人工島から手を引く、と宣言する』所まではやって欲しかったところです。

アメリカ軍がやってくれないのなら、わが海軍がやらなければいけません。
そのための戦力はやや不足していると言えます。

ですが上述のように南シナ海を封鎖され、その突破のために輸送船団を組んで護衛する、と言うシチュエーションを考えますと、ムリを承知で南シナ海で行動を起こす必要があるのかも知れませんね。

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-海上自衛隊と海上保安庁, 現代の戦い
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