日露とワールドカップ~勝利のあと~

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明治38(1905)年10月14日、日露両帝国はポーツマス条約を批准し、1年半にわたった大戦争は終わりました。

令和元(2019)年9月28日、ティア1(伝統的強豪)国以外で初めて開催された「ラグビーワールドカップ」日本大会において、我が代表はティア1の一角どころか、優勝候補の筆頭とも評されたアイルランドを打ち破りました。

国際社会もラグビー界も階級があります

20世紀初頭の世界は、地球上のすべてを「列強諸国」が支配するかどうか?って言う状況にありました。

アイルランド代表

アイルランド代表

ラグビー界でいう「ティア1」であります。ラグビーのティア1は全く不動のモノって訳じゃありません。
元々のイングランド・ウェールズ・スコットランド・アイルランド・フランス・イタリア(以上が6ネーション)・ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカという9ヶ国に2012年からアルゼンチンが加わった10ヶ国を言います。

アルゼンチンは2007年のワールドカップで3位になり、続く2011年ワールドカップでもベスト8に進出して実力を証明し、2012年に南半球の強豪同士が対戦する「ラグビーチャンピオンシップ」に参加するようになって「ティア1」とされるようになったのです。

ですから、これらの国がティア1ね、とか「イタリア弱ェからティア2行きね」みたいな決まりはありません。
「なんとなく、みんな判ってる」って感じですね。

アルゼンチン代表

アルゼンチン代表

コレはかつての列強も同じ事でした。

植民地何平方キロメートル以上持ってるから列強、って決まりがあるワケじゃなかったんですけど、そこには厳然とした「区別」がありました。
また、「イタリア弱ェから列強追放ね」みたいな決まりはありません。

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その列強の一員で、各列強からも一目置かれる大国であったロシアに、大日本帝国が勝利したということは、イギリス・アメリカ・フランス・ドイツなど列強諸国からの我が国に対する評価を大いに高めました。

イタリア代表

イタリア代表、と言いたいところだがこの人は今回選外でした。
選外の選手を何故?
儂好みだから(笑)

 

明治維新以来我が国と列強諸国間で交換される外交官が、公使であったのが、大使に格上げされたりしています。これは1905年12月、ロンドンの在英日本公使館が昇格して大使館となったのが最初であります。

長く我が国を苦しめた「不平等条約」は日清戦争以前から改正へと動き始めていましたが、肝心の関税の自主権の奪還はポーツマス条約後。

こうして「列強」の仲間入りを果たした大日本帝国でありましたが、残念なことに、その後の帝国の発展方向を見出すことが出来ませんでした。

戦略に基づいた強化を

良く言われるような「北進なのか南進なのか?」に止まらず、国家としてどういう方向に発展し、どんな形で国際社会に重きをなすのか…といった「国家の戦略」を作り直す時期に、この時は当たっていた筈なのですが、残念ながらその議論が大きくなされた様子はありません。

イングランド代表

イングランド代表

 

ラグビーワールドカップの方は、日本代表が現段階でグループリーグを突破したワケではありません。
たとえ突破してベスト8に進出しても、それだけで「ティア1入り」できるとは、とても思えません。

ただ、競技の実力としては、2015年のワールドカップ後からはずっと
「ティア2チームとやれば負けない」
という状態にありますし、ティア1の下位ともほぼ互角。

あまり注目されませんが、ジャパンは2016年以降でティア1の全チームと対戦していまして、こんなティア2国は他にはありません。

ウェールズ代表

ウェールズ代表

このまま、「ジャパン」が成長していけば最強グループ、すなわちティア1の上位グループと同じ実力を持つことも、まず間違いないでしょう。

問題は強化の方向

今回のワールドカップが終ったら、国内は「ラグビー・プロリーグ」の創設に向けて動くと思います。清宮さんがそう言っていますし。

ただ、プロリーグ発足前にカタを付けて置くべきことがあります。
実は、我が国(って言うかプロチームのサンウルブズ)は来年のシーズンでスーパーラグビーを「追放」されちゃうんです。

オーストラリア代表

オーストラリア代表

 

追放されると、我が国の選手は「世界レベル」で戦う場が無くなってしまいます。
もちろん一部の有力選手は、スーパーラグビーの各チームからオファーもあるでしょうし、欧州のプロチームで活躍することも出来る(山田章仁・立川理道・15年ワールドカップ後の五郎丸歩などのように)でしょう。

でも、「国代表」レベルでまとまる機会は限られるようになります。
オファーを受けられるのは10~15名内外でしょうし、彼らが抜けたトップリーグのレベルは確実に落ちます。

アルゼンチンは我が国と同じ時期にスーパーラグビーに「参戦」したんですが、「代表をそのままスーパーラグビーに」という強化方針で、スーパーラグビーで準優勝するまでになりました。

日本はアルゼンチンと真逆。

代表の主力は今年のスーパーラグビーには参戦させず、まとまってトレーニングを積むことによって、ジャイアントキリング(英語ではアップセット、というらしい)を達成することが出来ました。
その代わりに、スーパーラグビーの成績は最悪で、ついに追放。

どっちが良いとは言えませんが、一つ言えることはワールドカップは毎年あるワケじゃない、ってことです。

北半球欧州の強国は6か国対抗、南の強豪4国はザ・ラグビー・チャンピオンシップ、と毎年国別対抗リーグ戦をやるんですが。

我が国はどちらの仲間にも入れて貰えません。実は、ティア1とティア2の最大の「差別」がココにあるんです。

先述しました「全ティア1チームと対戦した(できた)」という事実の重大さもココにあります。

ニュージーランド代表

ニュージーランド代表

 

つまり、弱い方が強い国と戦って強化しようと思っても、なかなか相手にしてもらえないんです。
ティア1国に対戦してもらうためには、それなりの実力と、それ以外に何かないと…ジャパンのように「ティア1国以外で初めてワールドカップを開催する」みたいに。

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日本を中心に「太平洋プロリーグ」を

開催中のワールドカップの好成績で、日本国内のラグビー熱がヒートアップし、スーパーラグビーの方から「やっぱり続けて」と言ってくる可能性はあると思います。

向こうも商売ですし、スーパーラグビー全体の観客数も減少傾向がココ何年も続いてますから。

スーパーラグビーのリーグとしての実力は「オールブラックスが何チームも居るような」と言われるほどで、世界一であることは間違いありません。
向こうが「日本チームが居てくれると嬉しいなあ」と言うんだったら、居ても良いとは思います。

ただ、それだと国内リーグ(トップリーグ以下)の日程とも干渉しますし、プレイ人口の底辺拡大にはつながらないような気がします。

ラグビー協会はどうやら「日本独自のプロリーグ創設」の考えのようですが、参加チームは今のトップリーグとかトップチャレンジの焼き直しでしょう。

清宮副会長が語った「世界を二分するプロリーグ」構想

で、ココから電脳大本営的提案であります。つまり日本ラグビーの世界戦略です。

せっかく国内の一流チームを焼き直すんなら、サモア・トンガ・フィジーの「南太平洋諸国」(ラグビーではアイランダーと言います)にも声をかけ、例えば各国2チームくらいのインターナショナル・リーグを作ったらどうでしょうね?

清宮さんの意見に沿えば12チームですから、アイランダー各国で6チーム、日本は6チームです(日本9チーム、アイランダー3チームでも可)。

サモア・トンガ・フィジーじゃあ、実力的に弱いじゃん、とか思われますか?
ところが、ですね。世界のプロ・ラグビー・プレイヤーの20%はアイランダーなんですよ。

スコットランド代表

スコットランド代表

 

彼らはラグビー・プレイヤーとしての天賦の才に恵まれた産まれつきなんです(たぶん)。若いときから、プロ・ラガーとして特にヨーロッパの強国に行ってしまいます。

各島国は彼らを代表チームに召喚するんですが、代表チームでプレイしてもそんなにお金になりませんから、うれしくはないんですね。
なかなか祖国のために結集、とはなりません。

サモア・トンガ・フィジーのラグビー協会に日本のソレの半分もお金が有ったら、ワールドカップの様相は激変しちゃいますよ。

そんな彼らを救うと同時に、我が国の競技人口を増大させて、競技力そのものを強化する、そのためにこそこのチャンスに
太平洋ラグビー
を我が国主導・我が国の財政負担で創設すべきだと思うんですがねぇ。

アイランダーは太平洋に

太平洋ラグビー」の大まかな構想は清宮構想に乗っければOKでしょう。
アイランダーにはお金がありませんから、12チームすべてが我が国企業のチーム(の焼き直しプロチーム)になってしまうかも?ですが、いくつかの本拠地をサモア・トンガ・フィジーに置かせれば如何でしょう。

フランス代表

フランス代表

各国に本拠を置いてもらい、才能にあふれたアイランダーを発掘してチームを構成させます。

将来的に清宮さんが仰るように、収入もヨーロッパに対抗しようとするなら、アジア諸国にも進出しなきゃいけません。
ただ、その前に北米を巻き込むべきでしょう。

アメリカではラグビーのプロリーグがスタートしてます。このリーグの中にはカナダに本拠を置くチームもあるようです。
元々スポーツにカネを絡めるのが好きな国ですし。

アイランダーが欧州やニュージーランド・オーストラリアに流れるのは全くカネの為、なんですが、実は日本に来るのはカネだけじゃないんです。

アイランダーたちは高校卒業までにセレクションを受けて、ヨーロッパのプロチームに行くんですが、そこで一流になれるのは一握りの才能に恵まれた人たちです。

成功しきれなかった人たちは、島に帰って、元々ない仕事を「高卒」の資格で探さなきゃいけません(高卒の学歴をどうこう言ってるんじゃありませんので…)。

ところが日本を目指すと、まず大学に「留学」できます。つまりスカウトされた大学の卒業資格が取れます。
大学でラグビー選手としても成長できます。

その上でトップリーグのチームのお声が掛かれば、プロ契約もできますし、選手人生の終った後は社員さんとして勤務することも実例があります。

こういう形で「優遇」される日本が主導する「太平洋プロリーグ」のチームが地元にもあれば(日本企業のチームでも、本拠が地元にあれば)、島でプレーを続ける選手も増えるでしょう。

南アフリカ代表

南アフリカ代表

ヨーロッパのプロへ行くより、地元のプロチームで活躍したい、と思うアイランダーは多いと思います。
それも日本の経済力に裏付けられて、アメリカのプロとも戦える、となればヨーロッパへ行く選手はグッと減るんじゃないでしょうか?

欧州と南半球に対する「極」を作ること

日露戦争に勝った大日本帝国は、ロシアの持っていた満洲地域の各種権益を引き継ぎました。

この「権益」はロシアが清国から(無理やり)奪い取ったモノですが、国際法に基づいた権益であり、日本への譲渡も国際的に認知されていますから、まったく合法有効なモノでした。

日本代表

日本代表

 

続いて第一次大戦の結果、ドイツ領の南洋諸島を「委任統治領」として手に入れます。コレも完全に合法な領土拡張です。

大日本帝国はこれらの新領土を、列強のような「植民地」として扱いませんでした。まだまだ貧しかった帝国の資本を投入して、現地の経済的な発展を図る形を模索し続けたのです。

残念ながら、フィジー・サモア・トンガの各国はこの南洋の帝国領には含まれませんでしたが、今回こそは(ラグビーの世界だけの話ではありますが)わが帝国領(笑)に組み込んで差し上げようではありませんか!

ジャパン・ラグビーは、素直にティア1入りを目指す選択肢もあると思います。しかし、それではティア1を超えることは出来ません。

ブレイブ・チェリー・ブロッサムズが名実ともに世界一になることを望むなら。
世界一って言うのはランキング一位をずっと続けるとか、ワールドカップを連覇する、とかじゃなくて、世界中のラグビーファンとプレイヤーの尊敬を受ける存在になることです。

現在のティア1国は本当に強い国々です。このティア1国は欧州6ヶ国と南半球の4ヶ国に分かれていますが、これ以上に「仲間」を増やすことはちょっと考えられません。

その上に、地域的にも我が国が混ぜてもらうことは難しいでしょう。
スーパーラグビー追放も、南アフリカのチームの移動が問題の一つになっていました。

それなら、日本は日本の周りで覇権を確立し、欧州・南半球に対抗できる「極」を作るべきだと思います。

アイランダーという、それに相応しい実力を持った集団も居ますしね。「極」を作っていく過程で、日本国内出身のラガーも世界レベルで戦う場と、スピリットが得られるわけですし。

まあ、ムリクリ「太平洋ラグビー」じゃなくてもいいですけど。

フィジー・トンガ・サモアのラガーが生活を安定させ、必要な時には国の為に結集できる環境を作ってあげることが、桜のジャージの強化につながることは間違いない、と思うんであります。

 

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